ルイス・バラガン邸をたずねる ワタリウム美術館

メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガン。
自邸であり仕事場でもあったバラガン邸は、2004年にユネスコの世界遺産に登録されました。
そのバラガン邸を東京に再現するという夢のような展覧会が開催されています。
今回は、東京都渋谷区にあるワタリウム美術館で開催中の「ルイス・バラガン邸をたずねる」をご紹介しましょう。

Chapter01 20世紀の偉大な建築家の自邸を再現

ルイス・バラガン(1902-1988年)はメキシコを代表する建築家のひとり。メキシコの風土に根差した色彩や光による空間演出など、バラガンの作品は世界中の人々に愛されています。86歳まで暮らした終の棲家「バラガン邸」は2004年に世界遺産に登録されました。

バラガンは、伝統が色濃くのこるメキシコ第二の都市グアダラハラで、裕福な地主の家庭に生まれました。メキシコの風土につつまれて暮らした少年時代の原風景が建築作品の中に息づいています。

1980年にプリツカー賞を受賞した時のスピーチで「私の建築は自伝的なものです。私のすべての作品の根底にあるのは、子ども時代と青年期を過ごした父の牧場での思い出です。遠く懐かしいこれらの日々の不思議な魅力を、私はつねに作品において現代の暮らしに合わせて取り入れようとしてきました」とバラガンは語っています。

彫刻家マティアス・ゲーリッツの作品

光が降り注ぐ庭に面した「リビング」

展覧会では、国際的に活躍する建築家、妹島和世さん+西沢立衛さん/SANAAが会場構成を手がけ、「バラガン邸」がそのままワタリウム美術館の中に作られています。カーサ・ルイス・バラガン財団の特別な協力で、メキシコシティ郊外にあるバラガン邸からオリジナル家具や骨董品の数々が展覧会場に運びこまれました。

展覧会の魅力は、オリジナル家具や骨董品を並べただけではなく、「東京のバラガン邸」として再構築されていることです。
ワタリウム美術館広報部の森亜希子さんは「バラガン邸は、建築に光を取り込む仕掛けがいろいろあり、同じ空間でも昼と夜では異なる表情になります。外からの光が少ない室内の中で、マティアス・ゲーリッツの黄色や金色の作品が光輝く瞬間が印象的です」。

さらに「東京という違う土地の違う空間で、バラガン邸を再構築したところに展覧会のおもしろさがあるのです」と森さん。なるほど!説明をうかがって、改めて展覧会場を見回すと、美術館の窓やトップライトの位置とバラガンの部屋の構成の意味がよくわかります。

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Chapter02 ブーゲンビリアのピンク、砂の黄色

バラガンの建築は、シンプルなモダニズム建築とメキシコの自然や風土が調和した独自の世界観に満ちています。カラフルな色彩も特長です。

「バラガンが好んだエンジ色はレンガの色、鮮やかなピンクはブーゲンビリアの花の色、そして黄色は砂の色です。子どもの頃のメキシコの原風景が生み出した色彩です」と森さん。鮮やかな色彩は、人工の色ではなく、メキシコの自然をモチーフにした色なのです。

展覧会ではバラガン邸で使われている色や素材を見ることも楽しみのひとつです。ワタリウム美術館3階の展示会場にはダイニングルームが再現されています。ピンクの壁には、バラガンの親友、画家のチューチョ・レイエスのオリジナル作品が展示されています。ニッチには温かな質感を持つぽってりした陶器が並びます。

素朴な木製のダイニングチェアもメキシコの伝統的な民具をアレンジしたオリジナルデザインです。床には黄土色のカーペットが敷かれています。このカーペットは展覧会のために日本で作られたものですが、色や素材はオリジナルに忠実に再現されています。

「寝室」には毛足の長いカーペットが敷かれている

アームチェアの横にはレコードプレーヤー

ピンクの壁にチューチョ・レイエスの作品が展示されている「ダイニングルーム」

メキシコから運ばれたオリジナルデザインの家具

4階は「寝室」です。
壁にはキリスト像が飾られ、サイドテーブルにも陶器の置物や本などが置かれています。ベッドと反対側にはアームチェアと当時最先端のレコードプレーヤーが。バラガンは、ここでお気に入りの音楽を聴きながら静かな時間を過ごしたのでしょう。

床には毛足の長いシャギータイプのカーペットが敷かれています。歩くとふかふかで心地よく、とても安らかな気持ちになれるのが不思議です。

バラガンの蔵書やレコードコレクションが並び、会場にはバラガンがいつも聴いていたジャズやブルースが流れています。色や光とともに音や触感など、20世紀の偉大な建築家の息遣いを感じられる展覧会です。東京のバラガン邸を訪ねてみてはいかがでしょう。

写真:佐藤慶典

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Chapter03 ルイス・バラガン邸をたずねる
会 期: 2009年9月9日[水] 〜 2010年1月24日[日]
開館時間: 11時より19時まで
(毎週水曜日は21時まで延長)
休館日: 月曜日 [9/21,10/12,11/23,12月の月曜日,1/11は開館]
12/31-1/4は休館
入場料: 大人1,000円 学生800円(25歳以下)
(期間中、何度も使えるパスポート制)
主 催: ワタリウム美術館/メキシコ外務省/ カーサ・ルイス・バラガン財団
協 賛: アエロメヒコ航空
後 援: メキシコ大使館
特別協力: コンデサ df ホテル
協 力: メキシコ観光局
展示協力: 株式会社グリーン・ワイズ/日立コンシューマエレクトロニクス株式会社/東リ株式会社
映像協力: 大房潤一
出展協力: カーサ・プリエト・ロペス・コレクション
会場構成: 妹島和世+西沢立衛/SANAA

ワタリウム美術館